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事業再生・倒産について
2010年6月

 つい最近も我が国のフラッグシップJALが会社更生法を申し立てました。本来会社更生法は、このような規模が大きく社会的にも意味のある株式会社の再建を対象に、優先的債権以外の更生債権の大幅カットを前提にしていたはずです。

 ところが、今回の会社更生では、航空機の運航を最優先にして、取引債権は全額保護するというのです。このことは、一方で、サブプライム問題やリーマンショックを受け、世界中で劇的な変化が起き、法的整理と私的整理の常識的区別は、保守的な法律家の理解を超え、消えていく運命にあるのかもしれません。

 40年の歴史をもつ当事務所は、弁護士にとって時間と手間がかかり、一見こわもての債権者が登場しやすい倒産事件において、最後まで再生をあきらめないというスタンスにたち、さまざまな規模の企業の再生を行ってきました。

 上場企業では、リッカーなど日経新聞の一面を飾った事件、三井住友銀行(当時「住友銀行」)と平和相互銀行の合併の背景となったオーナー企業の再生などのほか、ゴルフ界のトップブランド日東興業の和議、また海外企業も関係する国際倒産事件など、当事務所の機動力とノウハウを生かして、実績をつくって参りました。

 そこで私たちが学んだことは、まずはそれまでの常識を疑えということでした。普通の弁護士の常識では、倒産事件の現場は大火事の状態であり、数字だけを追いかけている限り再生など出来るわけがないと判断されやすいのです。

 景気変動に伴う企業倒産はある意味で避けられないものです。世の中の動きを正確に捉え直し、その時代にあわせて、次のようなたくさんのメニューをうまく組み合わせた最新の事業再生手法を使って、再生のお手伝いを準備しております。

■法的整理
会社更生(株式会社)・・・最近では、ゴルフ場企業の会社更生もあり、また、4つの条件を満たせば経営者が続投できるDIP型会社更生も可能です。

民事再生(株式会社・個人ほか)・・・2000年に施行されたグローバルスタンダードの法律。原則としては、経営者続投も可能なDIP型ですが、資金力や経営ノウハウある新しいスポンサーに事業を引き継いでもらうM&Aや事業譲渡型が増えています。

破産(会社・個人)・・・最近は破産でも事業譲渡が認められるようになったこと、また破産は徹底的に仕切直す手続きであり、中途半端に債務を引きずらないことから、破産が見直される傾向もあります。

清算・特別清算(会社)・・・以前はもっぱら税金対策目的申立が多かった特別清算ですが、事業再生の前提として利用されるゴルフ場事例も出て、注目されています。

■私的整理
 再建型と清算型がありますが、私的整理でもっとも魅力があるのは、一般取引債務をカットしないで、つまり事業価値を毀損しないで、過剰債務である金融機関債務をカットするところです。当事務所は、中小企業再生支援協議会関与の私的整理手続に債務者代理人として関与したり、2009年に改正された産業活力再生特別措置法(以下「産活法」)に基づく中小企業承継事業再生計画の認定申請を支援したりして、積極的に再建型私的整理に取り組んでいます。

 その意味では、経済産業省が産活法の利活用に際して注目している第二会社方式と会社分割などは、きちんとした法律家の指導で行えば、民法、破産法および刑法に抵触することはありませんし、正当な事業再生の武器になります。

以上について、詳しい説明をご希望の方は下記をクリックしてください。

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