業務案内

14 海外案件

   当事務所の海外案件を処理する体制は、米国のロースクールでの修士課程を終了したわが国弁護士が3名、中国の大学で法律用語課程を終了したわが国弁護士が1名、米国法曹資格を有する弁護士が2名、渉外事務所からの移籍弁護士が2名、そして若干の渉外パラリーガルから構成されています。(なお、上記の人数は、重複した該当者も含めているので、総員数とは合致しません。)

   海外案件として、実績がありかつ質的にも高度の水準を維持しているのは、第1に掲げることができるとすれば、国際倒産事件であります。国内企業の破綻にともなう、海外子会社、海外財産の再編・処理、国外スポンサーからの支援契約交渉に係わる業務です。会社更生法及び破産法上の管財人や管財人代理・調査委員代理・監督委員代理として、会社法上の清算人として、あるいは再生事件における債務者申立代理人としての行動が含まれます。ま た、海外企業の破綻に伴うわが国拠点の再編、処理についても同じです。これには、国際倒産に派生する倒産訴訟案件があります。そして、学術的な諸論文、国際機構(国際連合、世界銀行、IMFなど)での企画立案への参画、諸国際会議での発表などがあります。

   第2には、日本企業(メーカー、商社、大型小売店、不動産など)の欧米、中国、台湾、韓国、東南アジアなどへの海外直接投資、資本取引、海外展開、海外販売、海外生産、そしてこれらに伴う企業統治、企業倫理につき、これを支援する業務です。これには、企業の設立、資本の確保・移転、撤退業務があります。また、海外企業の日本進出、日本展開、日本の業統治、企業倫理につき、これを支援し、誤りなきを期する業務があります。

   第3には、人的財産担保法(動産、債権、有価証券、その他財産権を目的とする担保権)に関する契約実務があります。主として、米国の統一商事法典の研究からはじまり、国際金融あるいは国際的企業再編に伴う人的財産担保の取得、登録、競合債権者・第三取得者との優劣、債務不履行などにかかわる実務を行なってきています。また、わが国企業向けの米国人的財産担保法に関する講演を、10年近く継続して行なっており、情報の更新も行なうことができています。

   第4には、私たちの国内部門の特色ともっともよく連動し、かみ合う部門として、国際訴訟をあげることができます。わが国の巨大商社、大規模メーカー、大手旅行代理店が外国で巻き込まれた民事訴訟の外国弁護士との連携による外国民事訴訟の攻防への参加ではないかと思われます。これまで、いわゆる裁判官裁判だけではなく、陪審員裁判の体験があり、さらには集団訴訟(クラスアクション)があり、幸いに勝訴を続けています。また、訴訟前の証拠開示についても、数多くの臨席、指導、発問などの経験を積んでいます。

   第5には、国際的企業の合併、分割などの再編、内外資産担保による国際的ファイナンスの業務があります。これまでに、数千億円規模の案件を含めて、このような法律業務と多数当事者による取引完結事務(クロージング)を行なうことができています。これには、会社法、証券取引法、独占禁止法、外資・外為法など関連規制を駆使する必要があります。

   第6に、いわゆる国際売買、輸出入取引、無体財産権に基づく多くのライセンス、外国企業との共同開発契約、国際的映画製作・配給契約、芸能スポーツの国際興行契約などの、国際商取引契約が含まれます。この中には、関連する各国の租税法規、租税条約の対象事項の処理が含まれます。また、この分野での研究、著作も少なからず発表しています。

   そして、第7に、国際的な人事、家庭、年金など金融資産、生死に係る保険、相続、遺言に関して、数多くの事案において、関係する複数国の内国法、内国手続、租税問題、租税条約につき、実績を積んでいます。特に、いわゆる中国残留孤児・サハリン残留孤児・フィリピン残留孤児にかかる業務量は、我が国随一のものであり、これらに関する戦前から戦後にかけての中華民国法・中華人民共和国法・ロシア法・フィリピン法・日本法の家族法・戸籍法については、豊富な処理実績があります。

   さらに詳細は、当事務所の海外案件部門の第一人者である竹内康二弁護士の
    「私たちにとっての国際事件、渉外事件の有り様について
   を是非ご参照ください。