ゴルフ場再生及び会員権保護

ゴルフ場再生及び会員権保護に関しましては、当事務所は類例のない実績を有しています。


ゴルフ場再生に関しましては、倒産・事業再生の分野では全く主流の業種ではありえませんでした。東京地裁民事8部などは、一時、ゴルフ場企業の会社更生法などは、収益性のなさと再建計画に会員権発行が含まれるなどの不健全性を指摘することで、基本的に会社更生法になじまないなどとの見解を発表していました。


ところが、バブル崩壊後、10兆円にも及ぶゴルフ場預託金とそれを超えかねない金融機関のゴルフ場向け不良債権処理の原動力となったのが、会社更生法と和議法に変わる民事再生法であったことは、法曹関係者の予想を遙かに超えた展開でありました。


もともとゴルフ場会員という債権者には、借地人や借家人のような借地借家法という特別法がないため、ゴルフ場会社倒産やゴルフ場競売に対して何らの法的保護もないのが当然であるという法的常識がありました。しかもゴルフ場会員は分別と経済力のある人たちと想定されていたことから、消費者保護の対象にもしにくかったのです。


一時、5万人会員を募集するなど詐欺的募集で社会問題化した茨城CC事件が会員契約適正化法という募集規制の法律を誕生させましたが、そこでも会員権の法的弱さはカバーしきれませんでした。


当事務所では、バブル崩壊当初のゴルフ場破綻による破産競売に対抗して会員組織立ち上げによるプレー権保護の運動手法を確立(東相模GC事件での抵当権付き会員権による破産からの再生)するとともに、他方、倒産手法をできるだけ使わないゴルフ場再生のための預託金新理論の理論的支柱の役割(契約法的アプローチによる据置期間延長判決の複数獲得)を担いました。


2000年の民事再生法施行以降は、ゴルフ場再生について会社更生・民事再生を中心に法的手続を利用した再生が主流となりましたが、基本は会員のプレー権保護を目ざす姿勢で一貫しており、立派に私的再生を遂げさせたゴルフ場もたくさんあります。


現在は、異なる立場からゴルフ場再生・事業再生に携わっていた元RCCスタッフも参加して、全国に散らばるゴルフ事業再生の現場にいつでも駆けつけられるような体制を取っています。


バブル崩壊後の混沌とした情勢で、誰しも解決を望みながらもできなかったゴルフ場問題の解決に関与でき、さらに会員プレー権保護というセイフティネットの確保に寄与できたことは、社会的弱者の権利保護という観点からも評価していただけると思います。


当事務所のゴルフ場関係の実績は、弁護士西村國彦の経歴を参照下さい。